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歯科コラム
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抜歯の方が簡単なのに…あえて「神経を抜く」メリットって?

神経を抜くという処置を経験したことがある人はいますか?あまり好ましくない処置ではりますが、症状によっては神経を抜く処置が適切であるケースがあります。しかし、歯医者さんの立場に考えれば歯を抜いてしまった方が早いのでは?と疑問を感じる人もいるのではないでしょうか。なぜ歯医者さんは神経を抜くのか、歯の神経を抜くことでどのようなメリットがあるのかも交えて、神経を抜く処置について庄野歯科が紹介していきます。

歯の神経を抜くのはどんな症状の時?

歯の神経を抜くのはどんな症状の時?

歯の神経を抜かなければいけない症状とは一体どのような症状なのでしょうか。

1. 強い自発痛がある
自発痛とは何もしなくても痛みが出ることを言います。自発痛が起きる原因は非常に多く、さまざまな疾患で自発痛が引き起こされます。

●化膿性炎
細菌感染が起きて化膿することで炎症となり自発痛を引き起こします。歯の炎症といえば、歯の神経である歯髄へ細菌が肝炎していくことで起きる歯髄炎が代表的です。化膿性歯髄炎になると強い自発痛が強くなることがあり、痛みを取るために神経を抜く必要があります。
歯髄へ化膿性炎を引き起こす大きな原因は虫歯です。虫歯が進行すると歯髄へ炎症を起こし神経を抜かなければいけなくなります。

●知覚過敏症
知覚過敏は冷刺激を主に感じとり、痛みとして神経が捉えます。これは歯の神経が痛みしか受容しないので外からの刺激は全て痛みとして認識しているからです。知覚過敏は冷たいものが当たっている間しか痛みを感じませんが、進行していくと常時痛みを発生することがあります。これは口の中の唾液や呼吸をするだけでも痛みとして認識するからです。

2. 内部吸収が起きている
あまり馴染みのない言葉ではありますが、内部吸収も歯科の重要な症状の一つです。内部吸収は歯の内部が何らかの原因によって吸収され空洞ができしまうことです。現段階で内部吸収のメカニズムは分かっていませんが、内部吸収の進行を止める方法で神経を抜くことが有効であるということがわかっています。

歯の神経を抜けば痛みは治る?

自発痛があるときに神経を抜くといった処置があることは分かりました。しかし、実際に歯の神経を抜いたところで痛みは完全になくなるのでしょうか。
答えは痛みが大幅になくなるです。
では、なぜ大幅という言葉を使うのでしょうか。神経というのは歯から脳まで繋がっています。歯で刺激を感じると脳へ伝え脳がその刺激を痛みとして認識します。神経を抜くとき、脳へ繋がっている神経まで抜くことはできず「神経を抜く」と言ってはいるものの「歯の中で神経を切り取る」というのが正しいのです。
実際、神経を抜く処置をしたのにも関わらず歯の痛みを訴える人がいます。こうしたケースは少なくなく、神経が根元から切れておらず少量が歯の中に残っている「残髄」という状況である可能性が高いのです。残髄の場合はもう一度神経を抜く処置をすれば確実に神経を取り除けます。

歯を抜くのと神経を抜くことの違い

歯を抜くのと神経を抜くことの違い

歯医者さんにとっても、患者さんにとっても神経を抜くよりも歯を抜いてしまう方が簡単で手っ取り早いことは間違いありません。しかし神経を抜くことでそれよりも患者さんへメリットがあるから神経を抜く処置を選択します。では、そのメリットとは何なのでしょうか。

1. 自分の歯なのでしっかりと噛むことができる
歯を抜いてしまえばそこへ歯の代わりとなる何かを入れなければいけません。それが入れ歯かもしれませんし、インプラントかもしれません。両側に歯が残っていればブリッジを制作するという選択肢もあります。
さまざまな治療法があるものの、どの治療法を採用しても結局は歯の代わりにしかなりません。天然歯(患者さん自身の歯)が一番良く噛むことができるということが歯を抜かないメリットの一つです。神経を抜くことで歯を保存でき結果として天然歯を守ることにつながります。

2. 顎の骨が吸収されない
歯を抜いてしまうと歯が生えていた部分の骨が骨としての役割を終えたと勘違いをして溶け出してしまいます。ちなみに、歯科用語では骨が溶けることを吸収と言います。
一度骨が溶けてしまうと元に戻すには外科処置を行う意外に治療法はありません。顎の骨を吸収させないためにも自分の歯を残しておくことは大切です。

3. 周囲の歯が移動しない
歯は両隣の歯と支えあって並んでいますが、歯が抜けてしばらく放置していると徐々に傾いてしまいます。噛み合っている反対側の歯は噛み合う歯がないので伸びてくる可能性もあり、歯を抜いてしまうとトラブルのリスクが出てきてしまうのです。

4. どんな患者さんにも適用できる
抜歯をするときは患者さんの持病や飲み薬を確認しなければ危険を伴う時もあります。しかし、神経を抜く程度の処置であれば局所麻酔薬に気をつければ良いので幅広い患者さんに適用できます。歯医者さんの多くは神経を抜いてできる処置をしてから、最終的に抜歯を選ぶでしょう。

神経を抜いた後はどうする?

歯の神経が入っている空間を歯髄腔と言いますが、歯髄腔の中には神経が入っていることで満たされています。しかし、神経を抜いてしまうと歯髄腔の中が空になってしまうのです。
歯髄腔のなかは人体と同じ体温で口の中と同じ湿度で保たれています。この温度と湿度は細菌が繁殖しやすい環境でもあるので、細菌感染すると増殖してしまう原因にもなってしまいます。
そのため、この歯髄腔を別の歯科材料で埋めます。こうして歯髄腔を埋めることで神経があった時と同じように歯髄の中を無菌状態にできるのです。

被せ物は?

歯の神経を抜くときは歯の頭部分を削ってしまいます。噛む部分がなくなるのでその歯では噛めません。
歯髄腔を材料で埋めた後は歯の代わりとなる被せ物を作っていきます。
被せ物は保険診療で作ることができる金属か、自費診療で作ることができる白い被せ物から選べます。ちなみに、神経を抜く処置をしてから被せ物ができるまでは1か月程度ですので余裕を持って治療に臨みましょう。

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